BIUTIFUL ビューティフル

BIUTIFUL ビューティフル

BIUTIFUL ビューティフル [DVD]
BIUTIFUL ビューティフル


コーエン兄弟作「ノーカントリー」では感情が欠損した狂喜の殺人マシーンを演じたバビエル・バルデムが本作では死を間近にした男の絶望に満ちた感情を表現し、好演しています。
そこから立ち込めるのは非常に人間味あふれる姿。
生にしがみつこうとあがくその醜態ともいえるライフスタイルには、「ノーカントリー」で演じたアントンシガーのような得体の知れない不穏な何かは微塵もなく、男の過去の歴史すら想起させるほどにリアルな人との関係性、生き方などが垣間見えます。

妻と離婚し、子ども2人と暮らすウスバル(バビエル・バルデム)は困窮していた。
ろくな仕事に就いておらず、日々の糧を得るため非合法な仕事にも手を染める毎日。
そんなある日通院先の病院で末期ガンにて余命2ヶ月であるとの宣告を受ける。
自分の死後誰が残された子ども達の面倒を見るのか頭を悩まし、死期が刻一刻と近づく中で、残りわずかな間に自分の出来ることをしようと心に誓う。

非常に長い映画。
そして、その150分近いある長尺で描かれるのが末期ガンで余命2ヶ月と宣告された男の悲壮な生活状況一辺倒だというのだから、実に気分が重たくなります。

困窮極まる生活、非合法な仕事、末期ガンからくる血尿、躁うつ病を抱える妻との関係性などなど、どこを切り取っても幸せとは無縁の地獄のような日々。
画面の色がやや暗く沈んでいるのはウスバルの揺れる孤独な心象風景を表しているがゆえでしょう。

見る際には非常な覚悟を持ってみないと、途中で退出したくなるほどに退屈を感じてしまう可能性のある作品です。
そういう意味で人を選ぶ作品ですが、映画全体を通じて流れる人の生、人の死、生き方について真摯に向き合う監督の姿勢に共感を得られれば、バルデムの好演もあいまって至高の芸術を見ているかのような満足感を得られるでしょう。

また、撮り方によってはいくらでも湿っぽくできた作品ながら全く持ってお涙頂戴な作品になっていないところも好感度大。
あくまで遠目から眺める監督の妙に冷めた視線が男の飾らない無様な生き方を浮き立たせていてそれが結果的に見る者の生死観とリンクし、時に感情を揺さぶるのです。

スペインの巨匠イニャリトゥ監督の過去作を楽しめた人ならば問題なくこの作品も楽しめるだろうと思います。

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