チェンジリング
チェンジリング
実際の事件に着想を得て撮られた作品。
多くの脚色はもちろんあるでしょうけど、語られる内容が実に圧倒的な存在感を放っていて基本的には静謐に包まれてはいるものの、強烈な主張をひしひしと感じる作品でした。
シングルマザーとして電話会社に勤務するクリスティン(アンジェリーナ・ジョリー)は、一人息子のウォルターと仲睦まじく生活していた。
ある日クリスティンが仕事から返ってくると最愛の息子の姿が消えていた。
クリスティンと警察の捜索の末、数日後に息子は発見されるが、彼女の目の前に現れた少年はウォルターに非常に似た、しかし全くの別人であった。
なぜその少年は自分をウォルターを言い張るのか、本物のウォルターはどこへ消えてしまったのか。
クリスティンの懸命の捜索は続く。
アンジェリーナ・ジョリーの演技が実に迫真。
息子が消えてしまった時のとまどいの表情、息子が誘拐の末、殺されたかもしれないと聞いた時の彼女の目から流れる涙、警察が捜索に前向きではない中、一人必死に息子を捜し続けるその力強い姿。
夫ブラッド・ピットの間にたくさんの子どもを抱えるアンジェリーナ・ジョリーだからこそ、演じ切れたといってもいいほどに、そのどれもが作り物ではない一級品のリアリティに満ちた表現でした。
子ども中心の生活が急に何の前触れなくその軸を失ったクリスティンの想いは怒りばかりだったでしょう。
息子は戻ってきたと言い張り、捜査ミスを認めない警察に抗い権力に立ち向かって息子を捜し続ける姿には、子に寄せる母の慈愛を強く感じさせてくれますね。
しかし、びっくりするのは当時の警察の腐敗しきった姿。
ウォルターに似た少年を適当に見繕って、平然とその別人をクリスティンに預けるやる気のなさ。
そうかと思えば、警察の意志に逆らって、捜査のミスを主張し本物のウォルターを捜し続けるクリスティンを精神疾患を抱えた厄介な存在と解釈し、警部の一声で彼女を精神病棟へ送る強権的な権力。
怖いですねぇ。
おそらく、おおいに脚色された部分もあるでしょうけど、彼女が実際、警察に逆らったがゆえ、精神病棟に送られ収容された事実はあるわけです。
本来、市民の安全と安心を守るはずの警察が汚職と怠惰にまみれたがゆえ逆に市民を高圧的に拘束し、権力をわがもの顔で利用していた時代があったとは、現代的な視点で眺めると驚きを禁じえません。
果たしてクリスティンは、息子を見つけることができたのかについては見てのお楽しみ。
しかし言えることは、この作品を生半可な気持ちで見てはいけないということです。
クリスティンの悲哀も、当時の警察の腐敗も、誘拐した犯人の残忍さも事実に基づくお話だからこそ肉薄し、我々の胸に鋭く痛む感受を要求してきます。
それに耐えうる余裕がある方はぜひご覧ください。
クリント・イーストウッド監督の中でも一二を争う素晴らしい作品です。
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