奇跡

奇跡

今ではもういいおっさんになってしまった、例えば30代以降の男性が見るべき映画なのかもしれません。
この映画から忘れてしまった何かを思い出せるかもしれませんよ。

父親と母親との不和で別々に暮らしている航一（前田航基）と龍之介（前田旺志郎）。
母の元で生活する航一は、父親とその父に連いていった龍之介と再び一緒に暮らせる日が来ることを夢みている。
そんなある日、新幹線「つばめ」と「さくら」がすれ違った時に願いを唱えるとその願いが叶うという噂を航基は耳にする。

電車がすれ違って願いを唱えるとその願いが叶うと本気で信じ切るところに子どもの純真無垢な穢れなき心を見ることができますね。
それは航一だけではなくて、航一と連れ立って一緒にその願いを唱えに向かう他の子どもたちにも言えることです。

子どもたちが輪になって叶えたい夢を語り合うシーンがあったのですが、どの子どもも本当に表情にキラキラとした輝きを帯びていてまぶしい。
映画上の演技ではなくて、心底願いの成就を信じているのでは？
とさえ感じてしまいます。
もしかしたら、出演した小学生みなサンタクロースの存在すらもまだ信じているのかも？

願いを唱えれば叶うなど大人の目から見れば到底信じられるようなものではないですよね。
だけど、学校であろうが会社であろうがどの場所にあっても、どの年代であっても、人が生きていくうえで大事なもの、基本にあるべきものは人をそして夢を信じる心なのではないかと思うのです。

この作品を手がけた是枝監督ももしかたらそのように感じているのかもしれません。
大人が忘れてしまった純粋な思いをこの映画を見て、少しでも取り戻して欲しいと思っているような気がするのです。

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