明日の記憶

明日の記憶

明日の記憶 [DVD]
明日の記憶


若年性アルツハイマーにより記憶が徐々になくなっていく恐怖を描きます。
白血病を患っていたこともある渡辺謙が難病を描いた原作にいたく感動し、著者である萩原浩のもとに直接出向いて映画製作にこぎつけたエピソードは割と有名かもしれません。

広告代理店に勤務する佐伯(渡辺謙)は、仕事をそつなくこなすやり手営業マン。
しかし、物忘れがひどくなり、仕事にも支障をきたすようになったことから妻・枝実子(樋口可南子)に連れられ、しぶしぶ病院へと向かう。
そこで医師からアルツハイマーだと告げられる。

人の名前が出てこない、約束に遅れる、目的地を忘れる。
始めはちょっとした兆候なのかもしれないけど、これらの軽微な症状がもしかしたらアルツハイマーの端緒だなんて思える人はそれほど多くはないのかもしれません。
たぶん人の名前が出てこなくても、約束に遅れてしまっても老化の一言で片づけられて、その後その失敗は顧みられることなく、いつのまにか忘れ去られてしまうものなのでしょう。

不幸にもアルツハイマーにかかってしまった佐伯を妻の枝美子は献身的に支えます。
しかし、どんどん記憶が薄れていき、一人ではまともに生活すらできない佐伯は日々の苛立ちからそんな枝美子の善意を悪意と捉えてしまい、暴力的になってしまう。
アルツハイマー症は記憶だけではなく、人間関係までをも破壊してしまうという現実がそこにはあって、そのプロセスが深い悲しみを伴って描かれていたシーンでした。

記憶が底をつき、自分が何者なのかすら分からない佐伯は枝実子に何も言わずいなくなります。
放浪する佐伯。
しかし、目的も無くさまよっていたと思っていた場所は、実は枝実子と昔デートに訪れた場所だったのです。
そこへ枝実子が佐伯を迎えに来る。
もちろん、佐伯は彼女が誰かは分かりません。
でも、「帰りましょう」という枝実子の後をおぼつかない足取りでついて行くのです。

たぶん記憶ではないのでしょう。
ここにあるのは夢の名残ともいうべき本当にかすかな余韻。
でも、その余韻が長年連れ添ってきた夫婦の絆を強く結びつけていた。
妻が先頭にたって夫が後からついて行く。
二人がそれまで長い間醸成していた愛情をひしひしと感じる実に良いショットでした。

単純な気持ちで見れるような映画ではありません。
しかし最近、夫婦の絆に疑問を感じている方なら強い共感を感じ、倦怠感漂う生活を見直す契機を与えてくれる作品になります。
ぜひ配偶者とご一緒にどうぞ。

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